DEAR試験(海外データ)
動画「nmCRPCの治療意義と治療選択」
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mCRPCとは(0:00~3:50)
- 非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)は、ADT施行中にPSA上昇が見られるが、従来の画像検査では遠隔転移が検出されない状態である。
<nmCRPCの臨床経過と影響>
- nmCRPCは無症候性であり、治療開始から遠隔転移までの中央値は約40ヵ月とされる。
- 約3割の患者が2年以内にmCRPCへ進展し、進展に伴い年間死亡率が上昇する。
- 骨転移はQOLの低下や医療費負担の増大を引き起こす可能性がある。
<nmCRPCの主な治療目標>
- 治療の主な目標は、遠隔転移の出現を遅らせることであり、これにより、患者のQOL維持、生存期間の延長、医療費負担の軽減が期待される。
- 無症候性であるため、有害事象によるQOLへの影響も考慮する必要がある。
<nmCRPCに対する治療薬>
- エビデンスのある薬剤はアパルタミド、エンザルタミド、ダロルタミドの3つのARSIだが、これらの薬剤の直接比較試験はなく、医師は患者に応じた薬剤選択に迷うことがある。
DEAR試験(3:51~7:47)
- DEAR試験はnmCRPC患者に対するダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミドの使用と転帰を比較した研究であり、870例の患者データを対象に、初回ARSI治療の中止またはmCRPCへの進行を評価したものである。
<DEAR試験の主要評価項目の結果>
- 初回ARSI治療中止またはmCRPC進行のイベント割合は、ダロルタミド群37.0%、エンザルタミド群52.6%、アパルタミド群52.4%であり、ダロルタミド群はエンザルタミド群、アパルタミド群と比較して良好であることが示唆された。
- 有害事象の発生率はダロルタミド群24.9%、エンザルタミド群29.3%、アパルタミド群30.2%。
<DEAR試験のまとめと今後の課題>
- DEAR試験はnmCRPCに対するARSIの実臨床評価を行った初の大規模研究であるが、今後は異なる医療環境でのデータ収集と長期的な患者追跡が必要である。
まとめ(7:48~10:34)
- nmCRPCは無症候性で長期治療が必要であり、治療目標は遠隔転移の抑制である。
- 現在のエビデンスに基づく薬剤は3つのARSIであり、実臨床でのデータが今後の薬剤選択に寄与する可能性がある。